「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は、専門職の裁量を尊重する制度として導入されましたが、健康管理の観点では見落とされがちな問題があります。労働時間規制の適用外となるこの制度で、社員の健康を守るために産業医が果たすべき役割について考えます。

高度プロフェッショナル制度とは何か

高プロ制度は、年収1075万円以上の高度専門職を対象に、労働時間・休日・深夜割増賃金の規定が適用されない制度です。「時間ではなく成果」を評価する枠組みですが、労働時間の上限がないため、過労リスクが高まる懸念があります。
健康管理措置(年104日以上の休日確保、健康面談など)も義務づけられていますが、「本人が同意しているから」という理由で健康管理がないがしろにされると、制度の本来の趣旨が損なわれます。

産業医が関わる健康確保措置の実態

高プロ制度対象者には、勤務間インターバルの確保や医師による面談指導が義務づけられています。産業医が面談で確認すべきは単なる体調だけでなく、睡眠の質や精神的疲弊感などです。
「優秀で自律的」に見える人ほど、不調を隠し続ける傾向があります。精神科医の視点から、高プロ対象者に特有の「高機能燃え尽き症候群」のサインを見落とさないことが求められます。

企業・人事が押さえておくべきポイント

人事担当者は、「制度を導入すれば終わり」ではない点に注意が必要です。健康管理措置の記録を保存し、産業医との連携体制を整えることが求められます。また、本人が制度への同意を撤回できることを事前に説明しておくことも、心理的安全性の確保につながります。高プロ対象者の健康を守ることは、成果の継続性を守ることでもあります。