「会社に来ると体が動かないのに、休日は友人と元気に出かけている」——こうした社員に対して、「仮病では?」「怠けているのでは?」と感じる管理職や人事担当者は少なくありません。しかし、この状態は「新型うつ(非定型うつ病)」の特徴的な症状であり、本人が意図的にコントロールしているわけではないのです。

新型うつとは何か——従来型との違い

非定型うつ病(いわゆる「新型うつ」)は、DSM-5(米国精神医学会の診断基準)において「非定型の特徴を伴ううつ病」として位置づけられています。従来型のうつ病が「何をしても楽しくない・24時間気分が落ち込む」という特徴を持つのに対し、非定型うつ病は「気分反応性」が高く、楽しいことがあると気分が持ち直すという特徴があります。これが「休日は元気に見える」という誤解を生む最大の原因です。
また、過眠・過食(特に炭水化物への強い欲求)・手足の鉛様の重さ・対人過敏(批判や拒絶に非常に傷つきやすい)といった症状も見られます。

職場での対応——「腫れ物扱い」にならないために

非定型うつ病の社員への対応で最も避けるべきは、「頑張れ」という叱咤激励と、「どうせ甘えだ」という決めつけです。これらは双方ともに症状を悪化させる危険性があります。
まず産業医面談を通じて、医師として診断や治療の必要性を客観的に評価してもらうことが第一歩となります。就業上の配慮としては、業務量の一時的な軽減、苦手なコミュニケーション場面の回避、そして段階的な復職計画の策定が有効です。「成果より出勤・出勤より体調」という優先順位を、組織全体で共有することが重要です。

正しく理解し、適切な支援を

非定型うつ病は、適切な治療(薬物療法や精神療法など)を受けることで回復する疾患です。放置すれば慢性化し、結果的に長期休職や退職につながってしまいます。「仕事中だけ体調が悪い」という社員を見かけたら、まず「何か困っていることはないですか?」と声をかけることが、支援の始まりとなります。

まとめ

新型うつを単なる「甘え」として片づけることは、疾患への無理解を示すだけでなく、社員をさらに追い詰めるリスクを伴います。精神科医・産業医と密に連携した正確な評価と、職場全体での理解促進が、適切な支援の強固な土台となるのです。