LGBTQ+(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クエスチョニング等)の性的マイノリティ当事者は、職場の中に必ず存在します。統計によっては人口の約8〜10%がLGBTQ+に該当するとされており、30人の職場なら2〜3人という計算になります。「カミングアウトしている人がいないから関係ない」という認識は、当事者の声を封じているだけかもしれません。
SOGIハラとは何か
SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity:性的指向と性自認)ハラスメントとは、同性愛者へのからかい・トランスジェンダーへの侮辱・本人の同意なく性的指向を暴露する「アウティング」などの行為を指します。
2020年のパワハラ防止法の施行指針においても、SOGIハラはパワーハラスメントの一類型として位置づけられており、事業者には防止措置が義務づけられています。当事者がSOGIハラを受けると、職場への不信感・慢性的なストレス・うつ病・自死念慮につながることもあり、その心理的な影響は深刻です。
心理的安全性を高めるための具体策
①SOGIハラ防止を明文化した就業規則・行動規範の整備
②全社員向けのダイバーシティ研修(LGBTQ+基礎知識の啓発)
③相談窓口の整備(外部EAPを含む)
④各種制度(慶弔休暇・福利厚生)の性別・婚姻状況を問わない適用
これらが具体的な取り組みです。「アライ(LGBTQ+を支持・理解する人)」の存在を組織の中で可視化することも、当事者の安心感につながります。
産業医として果たせる役割
産業医面談はカミングアウトの有無にかかわらず、当事者がフラットに話せる数少ない場です。職場でのストレスを聞く中で、性自認や性的指向に関する悩みが語られることもあります。「どのような性自認・性的指向であっても、ここでは安全に話せる」という態度を、産業医が率先して示すことが重要です。
まとめ
LGBTQ+対応は「特定の人のため」ではなく、「誰もが安心して働ける職場」のための取り組みです。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進は、組織の信頼性と人材定着率を高める、経営戦略でもあります。