副業・兼業を認める企業が増え、働き方の多様化が進んでいます。しかし「副業OK」と解禁した後、従業員の健康管理に死角が生まれていないでしょうか?本業と副業の労働時間は、法律上「通算」されます。会社が把握できていない副業先での長時間労働が、過労死・過労うつにつながるリスクは、決して小さくありません。

副業時代の「見えない長時間労働」

労働基準法第38条は、異なる使用者のもとで働く場合でも労働時間を通算することを定めています。本業で週40時間働き、副業でさらに20時間働いているとすれば、その社員の総労働時間は週60時間です。しかし現実には、副業の労働時間を正確に把握している会社は多くありません。
「自己責任で副業している」という認識が、安全配慮義務の空白地帯を生んでいます。疲労が蓄積した状態での業務は、判断力・集中力の低下を招き、本業のパフォーマンスや労働災害リスクにも影響します。

副業者への健康管理の実務

副業を許可する際には、副業の内容・就業先・月間労働時間の届出を義務づけるルールを整備しましょう。その情報をもとに、産業医による保健指導・面談を適切に実施することができます。
長時間労働の過重労働面談基準(月80時間超の時間外労働)は、副業の通算時間を含めて判断することが法的に求められます。社員が「副業を申告すると制限される」という不安を持たないよう、フェアで透明なルール設計が信頼の土台となります。

副業と休養のバランスを守る

副業を通じてスキルアップや収入補填を図ることは、社員のエンゲージメント向上にもなり得ます。しかしその恩恵を長期的に享受するためには、十分な睡眠・休日の確保が不可欠です。産業医面談では「副業はどれくらいやっていますか?」「睡眠は取れていますか?」という問いかけを通じて、見えない疲労を早期に捉えることができます。

まとめ

副業解禁は「自由」と「責任」のセットです。会社は副業者の健康を見えない場所でも守る義務があることを再確認し、産業医と連携した健康管理の仕組みを整えましょう。